SKCキッズカレッジのブログ

SKCキッズカレッジの学習室の様子などを紹介します

        NPO法人SKCキッズカレッジのブログです。

3月16日は、コロナ以来の4年ぶりのキッズカレッジ恒例の「おたのしみ会」

 

しかし、これまでと違い、「おたのしみ会」経験者が皆無。子どもたちだけのグループで、たこ焼きをしたりする。おとなはほとんど口を出さない。これまでは、初めて顔を合わす発達のアンバランスがある子どもたちが、トラブルを起こさず、仲良くやってきた。東京から来ていたMくんのお母さんは、「ここでは集団に入れるのに、なぜ学校でははいれないの?」と言っていた。しかも、今年は、キッズ学習にまだ取り組めないような子ども、低学年の子どもが多い。

 

さて、どうなることやら。

「感謝」はわからない、「素粒子」なら説明できる・・・

Kくん、3年生末に突然、「僕、学校行かない」と宣言。

その後は宣言通り、4年の今も学校には行かない。

 

「感謝」とはどういうことか、に対して、「それはわからない。僕が率直に表せないことだから。ちゃんと言えない」

「謝る」とはどういうことか、に対しては、「一番いやな問題だ。こういうのはわからない」

 

そして、「素粒子のことなら説明できるのに」と。

 

スタッフ;「だよね」。文字の書きは、かなりしんどそう。

SKCでは珍しくない子どもの姿。

 

「テストがきらいになった」

小学校高学年で毎回、「死ね」と書いていたKくん。6年生で「ぬ」と「ね」をかき分けることができず、学校では「死ぬ」と書きたいところを「死ね」と書いてしまい、先生に怒られていた。小学校末に、自己認識が形成されはじめ、うまくいかないことを人のせいにしたり、暴言暴力がなくなった。きびしい話をしても、冷静に聞いている。

中学は、通常学級、他の生徒に迷惑をかけなくなり、授業のじゃまをしない。授業はサボることはないが、毎時間寝ている。結果、通常学級では放置状態。担任からは、進路の話もまったくない。勉強は全くわからない。とくに、英語は教科書の1ページ目からわからない。当人は、のんきに、家から近い県立に行きたい、というようなことをいっていた。

中2の2学期、キッズカレッジで、現状では毎日通える高校では行くところはない。最低限、高校に行けるだけの勉強をする必要がある。本当は、かしこいんだから高校に入れば、伸びる。そのためには、かなりがんばらないとダメ。というような話を、本人にも、保護者に伝える。

 

そして、二学期期末試験。

当人曰く。「これまでは、(テスト期間中は)授業がないからテストは好きだった。今回は、事前に出された課題を数回繰り返してするなど、すごく勉強した。これからは、テストが嫌いになりそう」

※キッズカレッジのつぶやき1;「みんなはじめからそうなんや」

 

結果、前回より、5教科の合計で100点近く伸び、200点台なかばにせまる。

※キッズカレッジのつぶやき2:「学校ではますます問題にしてくれないだろうな」

キッズカレッジでは、保護者と相談しながら、Kくんが全日制の高校に入るための特別体制に入る。

 

雑誌「教育」12月号を読む会の案内のシェア

雑誌教育を読む会(オープン)の案内をシェアします。
ズーム形式。関心のある方、ご参加ください。
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教育科学研究会では、毎月、オープン読む会をしています。
12月27日は「新潟教育を読む会」をオープン読む会として開催します。申し込みは、https://docs.google.com/.../1wwlYOQxcd8s.../edit...
でお願いします。
 
雑誌教育を読む会(教育12月号特集1 青年期の教育困難とインクルーシブ教育)
話題提供者:
窪島務さん(NPO法人SKCキッズカレッジ 滋賀大学名誉教授) 
池谷壽夫さん(了徳寺大学
司会 加茂勇 (教科研常任委員)滝澤富明(教科研全国委員)
企画 窪島務 (NPO法人SKCキッズカレッジ 滋賀大学名誉教授) 
 
以下、企画内容です。
雑誌「教育」12月号で、高等学校における「支援」を必要とする生徒の実態と教育の課題―総合学科、単位制通信制高校を含む高校におけるインクルーシブ教育の展望―という特集において、今日的トピックスの一つである高等学校とその後の学習困難の実態と教育的対応を取り上げた。
本特集では、学習や仲間関係で苦労している子どもの青年期の発達課題に応える教育実践の場として積極的な位置づけたい。
多様化した高校では、個々の高校のタイプによって、支援の重点や形が大きく異なり、地域差もあり、一律には論じられないこともある。発達障害不登校、知的ボーダーラインの子どもたちが含まれているいわゆる「教育困難校」もある。「ちょっと変わった子」「落ち着きがない」という「性格」としてとらえられ、特段の支援もされないままに大学に進学をしていく生徒もいれば、そのまま放置される、退学というケースもある。彼らは、困難を持っていても、その子への対応についての研究も実践もあまりないままに、十分な知見を蓄積しているとはいえないし、困難を増幅させていることも考えられる。彼らの持つ困難さは多岐にわたり、解決の糸口も見えないのではないか。
 中学校で知的支援学級、自・情支援学級の児童生徒数は急増している中で、彼らの多くは、定時制通信制単位制高校や全日制の「教育困難校」に入学していく。そこでは彼らは、多数派となるのだが、高等学校における特別支援教育、特別の教育的ニーズに応じた教育とは?実際高等学校には「特別支援教育」の免許を保持しない教員が「熱意」だけで対応する場面も多い。青年期という発達的な特徴も考慮すると、中学校までの延長線上で構想するのではなく、新たな構想が必要になるのではないかということも頭におきながら皆さんのご意見を伺いたい。
 池谷論文は、ダイバーシティインクルージョンが政府の基本政策として策定されるなかで、障害者を含むダイバーシティインクルージョンではなく、経済団体のシンクタンク、財界、新自由主義に基づく政策として実現してきていることをわかりやすく説明しています。学校を取り巻く社会的政策的レベルでダイバーシティインクルージョンがいかなるものとして展開しているかを知ることができる時機宜を得た優れた論考です。

 この特集の前に「日本の科学者」9月号において、インクルーシブ教育の課題と展望についての特集が組まれ、読書会を経て、小学校から大学に続く「教育困難」「学習困難」に関する研究会を立ち上げ実践の検討を積み上げる会を続行していきたいと考えている。

勉強会の案内です。

 

教育科学研究会 発達障害と教育部会 年末拡大学習会 特別支援教育とインクルーシブ教育を考えるー児童期から青年期までのそれぞれの現場からー

オンライン | By 教育科学研究会(雑誌『教育』を毎月発行中)

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イベント詳細

教育科学研究会の「発達障害と教育」部会では、毎年の年末に拡大学習会を開催しています。
 現在、困難のある子どもの状況は日々、変化しています。2022年4月27日には、文部科学省から「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」という通知がありました。また、2022年9月9日には、障害者権利条約に基づいて、国連より総括所見・改善勧告がありました。しかし、通知にも勧告にも子どもの姿や、発達援助職の実践は描かれていません。今回は、3名の実践者の報告をもとに、特別支援教育とインクルーシブ教育について考えます。
 報告する実践者としては、小池雄逸さん(小学校 通級指導教室)、横江真理子さん(SKCキッズカレッジ)、近藤真理子さん(太成学院大学)の3名を予定しています。
 今回は、zoomを用いてのオンライン開催となります。途中参加、途中退席も可能です。



現在のところの予定
●日時12月26日㈫
13:30 はじめのあいさつ(企画趣旨等)
      加茂勇(発達障害と教育部会世話人、小学校教諭)
13:35 通級指導教室と通常学級の接点、通常学級教育への作用
      小池雄逸(発達障害と教育部会世話人 小学校教諭)
14:05 質疑、検討と各地の特別支援教育の現在の情報交換
      (参加者の自己紹介と問題意識の共有を含む)
15:00 休憩
15:10 SKCキッズカレッジの子どもの成長から見た学校教育の課題
      横江真理子(SKCキッズカレッジ)
15:40 質疑、検討
16:00 大学における「特別の教育的ニーズ」のある学生と発達の可能性
      近藤真理子(太成学院大学
16:30 質疑、応答
16:50  全体を通しての議論
参加申し込み
https://peatix.com/event/3767688/view?k=3d391f749328a7e1dfba130f3e7ef738bcf65228

キッズ卒業生の話

 

先日、JRの駅でキッズカレッジのヌシがたまたま4年前のキッズカレッジ卒業生のお母さんと遭遇した。

卒業生のYくんは、高校は単位制高校に行った。自宅では自室にこもり、自分の好きなことばかりしていたそうだ。当時キッズカレッジでやっていた月1回の高校生ミーティングには時々顔を出してくれ、Yくんらしい発言をしてくれていた。

お母さんの言うには、高校では化けなかったが、その後の専門学校で大きく化けた。(キッズでは、小学生の時の学習室で、学習に全く手をつけずうろうろするだけ、休憩時間の遊びの時にも輪に入れなかった彼が、高校生になって、ずいぶん落ち着いたので、「化けた」かな、と見ていた)。いくつかのコンピュータ関係の専門学校を自分でしらべて進学を自分で決めた。そこで自分のやりたいこと(「人の役に立つソフトの開発」ということらしい)を目一杯やり、力をつけ、3年生の時には早くも企業の研修に参加し就職の内定をもらった。成績も、「オール5」という。4年生の今年、正式に内定をもらい、来年春には就職することが決まっている。

お母さんは、キッズカレッジで「自分の好きなことを思いっきりさせたら良い」と言われそのようにしてきたが、今その意味がよく分かる、と話された。

 

Yくん、こうも言っているという。

「黒板を写したら、頭が真っ白になっただけ。ノートをとると言うことほど、ムダなことはない」。

また、キッズカレッジの子どもの名言が出た!

 

子どものつぶやきと、母の「教育的」力
 
あるところで子どものつぶやきを書いた。
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子どもは天才というか、かしこいのか、時に「え!」と思うようなことを言う。
キッズカレッジの2年生、ほぼ不登校、ひらがなの読み書きは本当にしんどい。ある日のつぶやき。
「おかあさんはな、僕がかわいいから、僕には甘いねん。だけど、それって教育的にはどうかな」
ある日の学習室。学習はしんどいのでなかなか入らない。自分勝手なルールをつくる。スタッフ:「それっていいけど、教育的にはどうなん?」。彼はだまって、スルー。(やっぱりね。キッズカレッジはそれもあり)
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今日、
かれは、キッズに来るなり、押さえていた涙をふきだし、30分泣き続けた。
遊びから気持ちを切り替えることができず、なかなかキッズに向かおうとしないので、お母さんの「教育的」力が発揮された。
たまにはそれもあり。母は偉大なり。
◆SKCキッズカレッジブログ byキッズカレッジ番頭とその仲間たち