
10年以上前のキッズカレッジ卒業生がたくさん参加してくれ、久しぶりに近況を語ってくれました。当時、ひらがなの読み書きが苦手な子どもの高校進学の道は厳しく、養護学校高等部に進学したS君は、最近、車の整備士3級の国家試験に合格したと報告してくれました。うれしさと驚きでいっぱいです。「がんばった」といっていました。彼の読み書きの困難さを知っているスタッフは、そのがんばりが尋常なものでないことが想像できます。

1年生のMちゃん:「学校ってつかれるところやなあ」
隣の部屋で聞きつけた小4男子Hくん:「そうなんよ! 学校って疲れるところなんよ!」。
スタッフ:何につかれるの?
M:5分やすみ。机の上をかたずけて、トイレに行って、お茶飲んで、また次の準備して、っていうまにキンコンカンコンってなる。めっちゃ忙しいんよ。全然、やすみじゃない。
急がなあかんから、もう廊下走ってトイレに行ってる。ホントは走るのはアカンって言われるけど。
M:朝から忙しいんやで。学校ついたら、ランドセルとお茶片づけて、体育の時はここですぐに着替えて、そしたら、水やりに行かなあかん。
スタッフ:そういうとき、外に行くからちょっと遊べるやろ?
M:そんなことしてたら、「お話」が始まるから間に合わへん。なんでも、急がなあかんねん。お兄ちゃんも水やりしてるから、何育ててるんかなって見てみたいけど、間に合わなくなるんよ。
スタッフ:「お話」って何?
M:先生がテレビつけてくれる。今日は、おじいさんがお花咲かせるお話やった。
H:それって、見せさせられてるっていうことやな。まあ、1年やから喜んでるかもしれんけど。
Mちゃん:朝登校して一番に考えるのは「早く帰りたいな」
H君:「ボクも、そう。」
子どもは学校でなんと疲れていることか??
木曜学習室の子どもたち
2年生から5年生の4人が最近はいつもつるんで狭い押し入れにはいり、戸を閉め、真っ暗の中で大騒ぎ。時々戸を開けて様子を見てまたしめる。
半分ぐらいの時間が過ぎたころ、まずN君が「さ、ぼつぼつやろか」と降りてくる。すると、みんなそれにあわせて降りてきて学習体制に入る。
自分から切り替える時のキレがすごい。この一年の確かな成長が感じられる。

ある日の学習室の一コマ
Aくんは、ゲームにはまり昼夜逆転で起きられない日々もあったが、キッズスタッフとキャッチボールをするために、寝ないでやってくることも。この夏の暑さは半端なかった。学習室に行きたくない日も「キャッチボールができる」とわかると、無理してもやってくる。さっさと学習室課題を終わらせて、「さあ、行こう」と大学のグラウンドへ向かう。
そんな夏が過ぎて秋、朝から本格的な雨でキャッチボールはできない中でもA君は学習室に来た。雨でも来た!まず、それにびっくり。本人は平然としている。キッズのモットーは、何が起きても何もなかったように対応すること。スタッフも何事もなかったように通常の学習に取り組む。
その日の一コマ。キッズカレッジが11月に行う「講演とトーク」のチラシに書かれている「学校に行きづらい、行きたがらない子どもたち』という言葉を何げなく見ていたA君、「これなあ、ちょっとちがうんよな。ぼくは、行きづらいっていうことでも、行きたくないってことでもないんよなあ」と話す。じゃあ、どんな感じ?と聞くと「それがうまくいえへんのや」と。すると、前の座席のB君(小5)が誕生日にもらったガンダムの話を振ってきた。何もわからずとんちんかんな会話をするスタッフに代わってA君が話しに加わわる。しばらく会話して「何年生?」とB君。「中2」とA君が答えると「僕と同い年かと思った」とB君。「由緒正しき不登校生、堂々の中学2年生やで」とスタッフに紹介されてびっくり顔のA君は、その後スッと胸張って「そんじょそこらの中2より、深い人生経験している」と発言。それを聞いたB君、「かっこいいな」。
Aくんに、現在不登校でフリースクールに行っている小学校1年生の話をする。フリースクールが休みになるので、ならば頑張って学校に行こうと保護者が学校に連絡を入れる。学校の対応は、「もっと早めに連絡してもらわないと困ります。急では対応ができない…」。それを聞いたA君は即答。「あかんやろ!学校がそんな対応あかんやろ!雑な対応すぎるわ!」。
彼は今、修学旅行に参加中。学校から「いつ来てもいいから」と言い続けてもらって今があるのかもしれない。
ひらがなが苦手なA君
思い出そうとしても出てこない。
スタッフ;どうしたの?
Aくん:文字がブラジルまで飛んで行った
スタッフ;そりゃ大変だ。しょうがいないね。でてこなくても。

小5の彼女は算数の計算にとりくんでいた手を止めた。
しばらく黙っていて、そして秘密を打ち明けるように言った。
「算数の計算をしているとイライラしてくる。脳ミソが融けてグチャグチャになるんだよ。
だけど体育の時は得意だから脳ミソがシャンとなる。」
「そうなんだ。脳ミソが融けるの? それは辛いね。」
彼女は「うん」とうなずいた後、答えを見ながらさっさと宿題を終わらせた。
その後も、イライラして鉛筆や消しゴムを投げていたが・・、
だんだん落ち着いていった。