SKCキッズカレッジのブログ

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粘土と漢字指導について 20200322

  粘土が漢字の書きにどう効果があるのかという問いをする人は、漢字の指導とは何かをどう考えているのかをまず明らかにすべきだ。

 特別支援教育でよく観察される書字の指導というものは、文字の指導ではなく、字形の書き方すなわち手指の筋肉運動スキルの反復訓練に過ぎない。多くの場合、文字の意味は取り残されたままになる。

 キッズカレッジの粘土指導は、「漢字」の指導ではあるが、直接的に「漢字の書き」の指導を目指すものではない。キッズカレッジの指導は、基本的パターンは月2回、1回1時間で漢字1単語(単漢字の場合は1字、2語熟語で2漢字)、休みなしとして年間24回、つまり年24字(単語)だけをあつかう。漢字指導であるとするならばこんな悠長な指導はないであろう。

 キッズの指導の特徴はたくさんあるが、議論を拡散させないためにこの点に限って最低2つの点を指摘しておく必要がある。

第1に、粘土を使うときの指導の重点は、「言葉の意味」(断じて「書き」ではない)を視覚的に構成することにある。上手下手は全く関係ない。どんなに上手でも模倣はだめ、自分のイメージを大切にする。「ピクチャー・シンキング」の一つといってもよいかもしれない。1時間の学習時間でこの意味の形象化にほぼすべての時間を費やす子どももいるが、スタッフは黙ってみている。言葉は読み書き障害の子どもの思考を混乱させることがある。スタッフは言葉の意味を言葉で説明しないことが原則である。もちろん、「こんなんもある」などとやって見せたりしてはいけない。

第2に、キッズカレッジの指導は粘土を使うか否かにかかわらず、指導の際にスタッフは書き方だけでなく、意味も「教えない」「指摘しない」「直さない」、ヒントによる「誘導もしてはならない」ことを無条件に守らなければならない。それ故、子どもが粘土や漢字に取り組んでいる間はスタッフはほぼ黙ったままである。

これら徹底して「教えない指導」は、キッズカレッジ設立時からの一貫した原則である。つまり、粘土指導は、文字の書き方の指導法ではない。キッズカレッジの指導は、子どもの指先にではなく、子どもの思考に焦点を置く。ところが、この方法によって、長期的には子どもの書字の間違い方は大きく変化する。指先の書くスキルが変わったのではなく、書く主体に発達的な変化が(自動的に)起きる。指導と子どもの書字学習との間に、主体を置き去りにした直線的なリジットな相関関係などはじめから想定していない。

◆SKCキッズカレッジブログ byキッズカレッジ番頭とその仲間たち